指南 泉浩洋法印法印は天台声明のオーソリティーで、長年研究を続けてこられました。その間に、声明に振りをつけて舞いにされました。古今未曾有の創作です。声明から邦楽もできたといわれています。江戸時代に俗曲ができ、その俗曲として伝承されてきた一部の唄と踊りをご紹介します。振付、指導、演出は法印が兼ねておられます。 |
声明とは
声明はインドに起こって、チベットを経て中国に伝わってくる。
天台声明は、比叡山の慈覚大師が中国の五台山から音曲の念仏を伝えられたと言われている。
以後、法要儀式として発展する。
そもそも、声明は経典に節をつけて唱えるもので、音楽的には声楽のようなものである。
声明舞とは
本来、声明には舞はない。
然し、声明は法要儀式と共に唱えられる。
その儀式作法には、それなりの作法がある。
その作法の一つ一つを表象化して動作にしてみると、舞の形になってくる。
また仏教には密教といって仏が手の形で法をとく印象がある。
現在の手話である。これらを構成すると崇高な如来の動きとなる。
舞の理念
声明には、数多くの種類がある。今回は「対揚」に振付をした。
「対揚」の意味は、世界平和を祈り人々の幸せを念ずるものである。
舞人は心で仏、観音様を念じ手で印を結んで、仏(観音)の動作、即ち舞をする。
ここで注目すべきは、足の運び、手、指先である。これを鑑賞する大衆も又、そのような心に導入される。
これを感応同交といって、自他共に仏の世界に入る。
声明は楽譜通りに唱える。
声明とは無伴奏で唱えるものであり、楽譜通りに唱えないと乱れてくる。
伝承舞
声明は邦楽にも大きな影響を与えたと言われている。
催馬楽、田楽、猿楽など、そして謡曲など、さらには歌舞伎や浄瑠璃、長唄など、時代変化があり、江戸時代には俗曲も流行した。
その俗曲も踊りがあって、大衆の娯楽として生活を豊かにした。
それは、作詞も作曲も振付も誰だか分からないが集落の老人から若者へと受け継がれてきた。
流派もない断片的な素朴なものであるが、当時の民衆を喜ばした。その一節を紹介す
ることにした。小道具は台所用品、農作業の道具で即興的に演ずる。もちろん楽器もないので、口三味線で踊るところは、またひとしお味わいがある。
声明伝授について一言
比叡山には、故中山玄雄大僧正がおりました。
この方は,声明の大家、人間国宝に指定された方で、この方から三十有余年に亘って声明を学び、凡その天台声明を伝授してもらいました。
それを以て今日、いささかの功徳を積みたいと言う梵志です。